押さえておきたい基本的知識

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インフュージョンリアクション

抗体医薬品による症状は、その他の抗がん剤に伴う過敏症やショック症状などとは区別されており、インフュージョンリアクション(注入に伴う反応)と呼ばれています。多くは投与開始直後~24 時間以内に発症します。特に初回投与開始後 30 分~2 時間以内が多く、その症状は発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、皮膚掻痒感、発疹、咳嗽などの軽度のものから、アナフィラキシー様症状、気管支痙攣、重度の血圧低下、急性呼吸促進症候群など重篤化し、生命に危険を及ぼす場合もあります。それぞれの抗体医薬品に対してインフュージョンリアクションの予防として前投薬の投与法が確立されたものがあります。
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抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(2)

抗がん剤による末梢神経障害が発現したときの対応として、最も効果的(症状の軽減や消失がみられる)なのは、原因薬剤の減量や休薬と考えられます。しかし、症状の増悪を抑えたり、軽減するために、何らかの薬剤を投与してほしいと患者さんからの訴えを聞くことがあります。これらの薬剤を使用し、もし効果が得られれば、原因薬剤の減量や中止を回避することになり、治療効果が期待できると考えます。効果が得られないと評価されたら中止を検討しましょう。
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抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(1)

抗がん剤による副作用として末梢神経障害(CIPN)があり、大きく3つに分類されます。①感覚障害:手足の先がしびれる、ジンジンする、感覚がない、耳が聞こえにくい、②運動障害:手や足が動かしにくい、力が入らない、つまづきやすい、③自律神経障害:便秘、小便がでにくい など。これらの症状は副作用の中でも、すぐに命に関わることではありませんが、日常生活においては大きな影響があり、重要な副作用の一つと考えています。治療薬選択時に、患者さんの生活スタイル(仕事内容、生活環境など)を考慮し、患者さんの理解を得たうえで治療方針を決定することが望ましいと思います。
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押さえておきたい基本的知識

ドセタキセルによる浮腫にフロセミドを使用するときの注意点

ドセタキセルを投与中の患者さんの中に、身体の浮腫(むくみ)を訴える方がおられます。浮腫に対して利尿薬を安易に使用してはいけない場合は、大動脈弁狭窄症とされています。大動脈弁狭窄症は大動脈への血流量が低下して体循環全体が血流不足となった病態です。ですのでフロセミドなどの利尿薬を病態にそぐわない量を使用すると、さらに水分を排出し血液の量を減らすことになり、左心室から送り出す血液量も減り、ショック状態となるリスクが高まるためとされています。医師へ処方提案する際は、併存疾患をしっかり確認するようにしましょう。
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抗がん剤の副作用 蛋白尿(+)への対応

抗がん剤のうち副作用に蛋白尿が発現する薬剤があります。蛋白尿の発現の程度により投与が中止となったり、重症化するとネフローゼ症候群となる可能性があるため、そのコントロールが重要です。蛋白尿の発現の機序を考えると、原因薬剤を中止することが最も効果があると考えられます。しかし治療効果を考えると血管新生阻害薬を継続することが多いです。対応としては、高血圧を合併している場合は、糸球体の輸出細動脈を拡張しすることで蛋白尿の減少が期待できるARBを投与したり、Ca拮抗薬でもN型チャネルの阻害作用をもつシルニジピンやベニジピンにも糸球体輸出細動脈の拡張作用も期待できると考えられます。これらにより蛋白尿の減少または維持を期待しています。
実際にやってみた!シリーズ

爪のスクエアカットを実際にやってみました(3)

過去の記事で実際に手の爪をスクエアカットした感想をご紹介しました。今回は、足の爪です。手の爪に比べてなかなか伸びませんでしたので、ずいぶんと間が空いてしまいました。真ん中の写真のようにカットした後、両端がとがりましたのでヤスリをかけて丸くしてみました。やはりスクエアカットは難しかったです。手の爪と比べて足の爪は固いです。お風呂上がりにカットするとよいかと思います。ヤスリをかけるときはあまり強くすると皮膚を痛める可能性もありますので、丁寧に処理しましょう。
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カルボプラチンの投与量の算出はカルバート式で

がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016には、「腎機能に基づくカルボプラチン投与量設定すを行うよう強く推奨する」との記載があります。カルボプラチンは投与後にそのほとんどが腎臓から排泄されるため、GFR(糸球体濾過量)に基づいて体内薬物動態を予測できるとされています。
実際にやってみた!シリーズ

皮膚障害対策 泡で顔と体を洗ってみました

抗EGFR阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、マルチキナーゼ阻害薬などの副作用に皮膚障害があります。皮膚症状が発現と治療効果に関連性があるとの報告がありますが、症状が重症化すると一時中止となり、期待する効果が得られないことになりますので、日頃からスキンケアや、症状に応じた薬で早期に適切な対処をすることが大切です。皮膚を傷つけずに顔や体を洗う方法として、石けんをよく泡立てて洗う方法が推奨されています。患者さんにスキンケアの実際についてパンフレットを用いて説明していますが、実際にそれをやってみました。
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抗がん剤とサプリメント・嗜好品との相互作用

がん患者さんへ服薬指導をしているときに健康食品やサプリメントを服用していいか、尋ねられることがあるかと思います。少し前の文献にですが、がん患者の44.6%が、がんの進行抑制や治療などの目的で、健康食品やサプリメントなどの補完代替医療を行っ...
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PSが不良の患者さんへの化学療法は?

化学療法の予後因子として、ほとんど全てといってもいいくらい全身状態があげられます。全身状態の評価は performance status(PS)が通常用いられます。身の回りのことが自分でできず、日中の50%以上就床している PS 3 の状態は、基本的に化学療法の適応になりません。
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