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胃癌の手術後の患者さんへの服薬指導ポイント(2)

胃がん

胃癌の術後補助化学療法としてS-1を例に挙げてご説明します。

ACTS-GC試験の結果より、胃癌の切除術を施行したあと、S-1を1年間服用した方が予後がよいことが確認されました。しかし1年間継続してS-1を服用できた患者さんは全体の65.8%で、意外と継続できていなかったことがわかります。中止の理由とし患者または医師の判断によるもので有害事象による理由が大半を占めておりました。また再発による中止症例を除いた患者さん達の予後は、S-1を12ヶ月以内に中止した患者さん達より、12ヶ月継続できた患者さん達の方がよくさらに予定していた投与量の70%以上を服用できたほうが予後がよかったと報告されております。

胃全摘および術後合併症が術後1ヶ月目の体重減少をもたらす危険因子である 

胃切除後1ヶ月目の15%以上の体重減少または5%以上の骨格筋量の減少が、術後6ヶ月目のS-1の継続性に関連し、予後にも影響する  とも言われています。

副作用を早期発見・早期対処する 

 あらかじめ起こりうる副作用についてパンフレットなどを用いて説明し、治療日誌で副作用の記録をつけるよう指導します。副作用症状が重篤化する前に、軽症なうちに把握し、対処することで、治療を中断することなく継続が可能となり、治療の向上につながると考えます。

患者のアドヒアランスを向上させる 

 計画予定した投与量にできるだけ近くなるように自らの意思で継続するよう理解してもらうことが重要です。ただし副作用をがまんして続けることがないよう指導が必要です。服薬状況を次回受診時に確認しますが、できたら電話によるサポートなどで副作用の発現状況とあわせて確認するとよいと思われます。

体重、骨格筋量を減少させない 

 胃癌の手術後は体重、骨格筋が減少することが多いとされています。これらが減少するとS-1の継続率や予後にも影響すると言われています。対策として体重をこまめに測定することで体重の変化を自覚し、栄養状態の評価をした上で、栄養価の高い経腸栄養剤などを摂取することで体重減少が抑えられるとされています。栄養にしては、栄養士さんに指導を受けるのがよいと思われます。

S-1による術後補助化学療法を例に挙げてお伝えしましたが、他の胃癌の術後補助化学療法についてもほぼ同様と思われますので、参考にしていただければと思います。

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