胃癌治療ガイドライン(第5版)には、一次化学療法、二次化学療法、三次化学療法で推奨されるレジメンの記載があります。切除不能・進行再発の胃癌の二次化学療法として、ラムシルマブ+weeklyパクリタキセル療法が推奨されています(グレードA)
投与スケジュール(1 サイクル28 日間)
Day1,15…..ラムシルマブ(RAM) 点滴 8 ㎎/kg
Day1,8,15…パクリタキセル(PAC)点滴 80 ㎎/㎡
根拠文献:RAINBOW試験 Wilke H, et al.: Lancet Oncol. 15(11): 1224-1235, 2014
試験の結果
主要評価項目の全生存期間(OS)中央値は、PAC+プラセボ群7.4ヵ月、PAC+RAM群9.6ヵ月(HR=0.807、95% CI: 0.678-0.962、p=0.0169)。
副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値は、PAC+プラセボ群2.9ヵ月、PAC+RAM群4.4ヵ月(HR=0.635、95% CI: 0.536-0.752、p<0.0001)。
日本人サブグループ(n=140)の解析では、OS中央値は、PAC+プラセボ群11.5ヵ月、PAC+RAM群11.4ヵ月であり、両者に有意な差は認められませんでした(HR=0.88、95% CI: 0.60-1.28、p=0.511)が、PFSは中央値でPAC+プラセボ群2.8ヵ月、PAC+RAM群5.6ヵ月と有意な延長を示し(HR=0.50、95% CI: 0.35-0.73、p=0.0002)、奏効割合でもPAC+プラセボ群19.4%、PAC+RAM群41.2%と有意差を示しました(p=0.0035)。
weeklyパクリタキセル療法へのラムシルマブの上乗せ効果が
確認されました
有害事象について
Grade 3以上の有害事象はPAC+RAM群/PAC+プラセボ群において、82%/63%に認められました。PAC+RAM群において好中球減少症(41%/19%)、白血球減少症(17%/7%)、疲労(12%/5%)、腹痛(6%/3%)、高血圧症(14%/2%)等の発現割合が高く認められました。一方で、発熱性好中球減少症(3%/2%)は発現割合に差はありませんでした。
サブグループ解析では、日本人サブグループ、欧米人サブグループとも、Grade 3以上の出血、消化管穿孔がPTX+RAM群に多く認められました。
日本人サブグループでは欧米人と比較して、Grade 3以上の好中球減少症が多く認められた点に注意が必要ですね。
注意すべき副作用
ラムシルマブ:高血圧、尿タンパク、出血、インフュージョンリアクションなど
パクリタキセル:神経障害(蓄積性)、筋肉痛、関節痛など
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