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抗がん剤治療に伴う心障害のモニタリング

心障害

シンゾーくんを抗がん剤の副作用から守るにはどうしたらいいか。その考え方をお伝えしたいと思います。

抗がん剤開始前のモニタリング

がん治療開始前に心血管危険因子の評価とリスク層別化は非常に重要とされています。

以下の内容をがん治療開始前に確認することでベースラインを評価することになります。

1)病歴の確認

血管疾患の既往歴、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの心血管系危険因子の有無、過去の抗がん剤の投与歴、胸部への放射線曝露歴など

2)内服薬の確認

抗血小板薬や抗凝固薬の確認は重要であり、出血を伴うような処置や手術に伴う休薬、抗悪性腫瘍薬との相互作用発現の可能性について評価が必要

3)検査

血液検査、心電図検査、胸部X線検査、心臓超音波検査

抗がん剤治療中のモニタリング

 Cardio-Onco-Hematology in Clinical Practice. Position Paper and Recommendationsにアルゴリズムの記載があります。があります。これによると心臓超音波検査は3ヶ月毎、心筋バイオマーカー(トロポニンI、ナトリウム利尿ペプチド)
の検査は治療サイクルごとに行うことが推奨されています。がん治療関連心機能障害は、左室駆出率(LVEF)の53%を下回る10%以上の低下と定められています。

アドリアマシンによる心筋症患者に対して、早期からICE-Iやβブロッカーを開始すると心機能の回復の割合が高いという報告もありますので、早期対応が、がん治療によい効果をもたらすと考えられます。

アントラサイクリン系抗がん剤の中には、生涯における総投与量の上限が規定されているものがありますので、投与量の管理が必須です。

心不全の初期に見られる症状として、下腿の前面や足首、足の甲を指で押さえるとくぼみができるような「むくみ」や階段での「息切れ」があります。全身に水分がたまってしまうことより、体重が増えたり、横になると咳が出たり、息苦しくなったりします。その他、倦怠感や疲れやすいという症状が出ることもあります。これらの症状がないか観察し、毎日体重を測り、1週間で体重が2kg以上増えた場合には、速やかに病院へ受診するよう指導しましょう。

抗がん剤治療後のモニタリング

治療終了後は、投与された抗がん剤の種類や患者の心血管リスク、治療中の副作用の発現状況に応じて個別にフォローする必要があります。トラスツズマブは遅発性の発症の可能性は低いですが、アントラサイクリン系抗がん剤による心毒性は遅発性の場合があり、心不全症状が出たときになって、原因が過去の抗がん剤によるものだと気が付くことがあり、長期のモニタリングが必要と考えられています。

薬剤師
薬剤師

総投与量と定期的なモニタリングが大事ですね。

TKIやVEGF阻害薬、最近では免疫チェックポイント阻害薬によっても

心障害の発現の可能性があります。

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