末梢神経障害の分類や原因薬剤などについて過去の記事「抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(1)」をご参照下さい。
抗がん剤による末梢神経障害が発現したときの対応として、最も効果的(症状の軽減や消失がみられる)なのは、原因薬剤の減量や休薬と考えられます。
しかし、症状の増悪を抑えたり、軽減するために、何らかの薬剤を投与してほしいと患者さんからの訴えを聞くことがあります。
末梢神経障害に対する支持療法薬
①プレガバリン OD錠、カプセル、25mg、75mg、150mg
成人には初期用量として、1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は600mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
腎機能が低下している患者さんでは調節が必要ですので、添付文書をご確認下さい。
高齢者では、傾眠やめまいによる転倒・転落を起こすおそれがありますので、25mgを1日2回などより低用量から開始するとよいかと思います。
効果が得られるまで1週間程度かかるとされています。大規模臨床試験でのデータがないため、ガイドラインなどでは強く推奨されていませんが、神経障害性疼痛の保険適応があるため、臨床で使用されることが多い薬剤です。長期連用で体重増加の副作用があり、効果が得られなければ継続の可否を検討しましょう。
②ミロガバリン 錠、2.5mg、5mg、10mg、15mg
成人には、初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。
プレガバリンと同様に腎機能が低下している患者さんに対しては調節が必要ですので、添付文書をご確認下さい。
高齢者では、傾眠やめまいによる転倒・転落を起こすおそれがありますので、2.5mgを1日2回などより低用量から開始するとよいかと思います。
効果が得られるまで1週間程度かかるとされています。大規模臨床試験でのデータがないため、ガイドラインなどでは強く推奨されていませんが、神経障害性疼痛の保険適応があるため、プレガバリンと同様に臨床で使用されることが多い薬剤です。長期連用で体重増加の副作用があり、効果が得られなければ継続の可否を検討しましょう。プレガバリンと比べて眠気などの副作用が少ないことが特徴です。
これらの薬剤を使用し、もし効果が得られれば、原因薬剤の減量や中止を回避することになり、治療効果が期待できると考えます。効果が得られないと評価されたら中止を検討しましょう。
2剤のみをご紹介しましたが、その他、ビタミンB12、牛車腎気丸は保険適応上、使用可能かと思われます。試してみて効果がなければ中止をご検討下さい。
ガバペンチン、アミトリプチリン、デュロキセチンなどが効果があるとの報告がありますが、適応外使用になりますので、各施設での適応外使用の承認状況をご確認の上、検討いただくことになります。
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