抗がん剤のレジメンを検討する際に、患者さんに腹水や胸水がある場合は事前に投与の可否について十分に検討が必要です。
腹水は、腹膜転移を起こしやすいがん種である卵巣癌、胃癌、膵臓癌、子宮癌に起こりやすく、胸水は、肺癌、乳癌、リンパ腫、卵巣癌、胃癌などに起こりやすいとされています。
薬剤師として押さえるポイントとして、腹水や胸水が貯留すると薬物動態学的には血液や組織とは異なる分布相、いわゆるサードスペースの考慮が必要となります。腹水や胸水中に抗がん剤が長くとどまることで、分布容積が増大し、半減期が延長したりと薬物動態が変化し、副作用が増強する可能性があります。
多量の腹水や胸水があるときに注意すべき抗がん剤
イリノテカン
メトトレキサート
ミトキサントロン
フルダラビン
がんによる腹水や胸水があるということは、進行期であると思われます。どのくらいからが多量か、腹水や胸水のコントロールをまずどうするか、医師と相談し、治療の対応を検討する必要があります。
患者さんの病態を事前に評価し、治療薬の選択に対して情報提供し、治療開始の際には副作用の発現に特に注意することが必要と考えています。
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