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Ⅳ期非小細胞肺癌 遺伝子変異陽性の1次治療(エクソン19欠失またはL858R変異陽性)オシメルチニブ

肺がん

肺癌診療ガイドライン 2021年版ver1.1より

7-1-2.EGFR遺伝子変異陽性

とオシメルチニブが推奨されておりますので、根拠となった文献をご紹介します。

「Overall Survival with Osimertinib in Untreated, EGFR-Mutated Advanced NSCLC」N Engl J Med 2020; 382:41-50DOI: 10.1056/NEJMoa1913662です。

オシメルチニブ(タグリッソ®)は、L858R等の変異型EGFRチロシンキナーゼ及び耐性変異であるT790M変異を有するEGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害することで進行非小細胞肺癌に有効な第3世代EGFR⁻TKIとされています。

オシメルチニブと標準EGFR-TKI(ゲフィチニブ)の有効性及び安全性を比較した国際共同第3相試験(FLAURA試験)が行われました。

その結果、無増悪生存期間はオシメルチニブ群で18.9か月(95%信頼区間[CI]、15.2〜21.4)、標準EGFR-TKI群では10.2ヶ月(95%CI、9.6~11.1)とオシメルチニブ群で有意な無増悪生存期間の延長を認めました。

さらに、中枢神経系への転移の有無に関わらずオシメルチニブ群で有意な無増悪生存期間の延長を認めました。

Grad3以上の有害事象は、標準EGFR-TKI群よりもオシメルチニブ群の患者数が少ない(34%対45%)で報告されました。最も一般的に報告された有害事象は、発疹またはざ瘡(オシメルチニブ群では58%、標準EGFR-TKI群では78%)、下痢(それぞれ58%および57%)、皮膚の乾燥(各群で36%)でした。

心臓への影響(QT間隔の変化)は、標準EGFR-TKI群(13人の患者[5%])よりもオシメルチニブ群の患者の割合が高い(29人[10%])で報告された。グループ全体で、このカテゴリーの有害事象の大半は、グレード1(オシメルチニブ群の11人(オシメルチニブ群の11人[4%)、標準EGFR-TKI群の7[3%]、またはグレード2(オシメルチニブ群の12人の患者[4%]および標準EGFR-TKI群の3[1%)であった。

間質性肺疾患の有害事象は、オシメルチニブ群で11人(4%)、標準EGFR-TKI群で6(2%)と報告された。いずれのグループでも間質性肺疾患の致命的な事象は報告されなかった。オシメルチニブ群では、11人中7人の患者に対して「回復」し、残りの4人の患者に対して「回復」したとして、間質性肺疾患の結果が報告された。標準的なEGFR-TKI群では、結果は6人中4人の患者に対して「回復」、1人の患者に対して「回復」したとして、1人の患者に対して「回復していない」と報告された。

 FLAURA試験の日本人サブグループ解析では、PFS中央値はオシメルチニブ群で19.1か月(95%信頼区間[Cl]:12.6~23.5)、標準治療(日本人では全例ゲフィチニブ)で13.8か月(95%Cl:8.3~16.6)であり、ハザード比0.61(95%Cl:0.38~0.99、P=0.0456)と全体解析での結果と同様、PFSの延長傾向が認められました。

 ORRはオシメルチニブ群が75%、標準治療群が76%(オッズ比:0.98)であった。DOR中央値はオシメルチニブ群18.4か月、標準治療群9.5か月と、オシメルチニブ群で約2倍近く延長が認められました。また、オシメルチニブ群2例で完全奏功(CR)がみられました。OSについては、イベント発生割合がオシメルチニブ群で14%、標準治療群で18%とまだ十分なイベントが発生しておらず、今後の解析が待たれます。

 主なグレード3以上の有害事象の発生率は、オシメルチニブ群が28%、標準治療群が49%とオシメルチニブ群で低かったが、間質性肺疾患およびQT延長についてはオシメルチニブ群で多く発現が見られた。また、全体解析と比較すると、日本人サブグループで両群の毒性が強い傾向が見られた。

薬剤師
薬剤師

今から約13年前(2008年)にIPASS試験が発表されました。化学療法とゲフィチニブの比較試験で、ゲフィチニブおよびカルボプラチン/パクリタキセル(併用化学療法)による全生存期間は類似しており、有意差はないことが示されました(HR=0.90, 95% CI 0.79-1.02, p=0.11, 全生存期間中央値 18.8 カ月vs. 17.4 カ月)。日本人を含む東洋人で初めてイレッサの優越性が証明され、しかも一次治療としての有効性が示された試験で非常に衝撃を受けたのを覚えています。

薬剤師
薬剤師

FLAURA試験の結果、ゲフィチニブ、エルロチニブと比較して、オシメルチニブが推奨されています。

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